「4大監査法人がタッグ」ってやばたにえん

こんにちは。監査は好きだったけど、監査法人は嫌いなpekopon0120です。

4大監査法人がタッグ:日本経済新聞

こんな記事が今日リリースされていました。

実際にプロジェクトに関わっている経験豊富な監査人の皆さんは、私が考える以上に深く課題や問題を理解し、すでに立ち向かわれていることであろうと思われます。

記事が雑すぎるので、元々のプロジェクトの趣旨が正確に記載されているとも思えないのですが、監査法人が共通のプラットフォームを作るということはプラスの側面だけではないと思います。

ここはあえて、監査人のすなる批判的機能といふものを、野良会計士もしてみむとてするなり。

目的:

資本人(しほんちゅ)は、社会制度の変化には敏感です。

監査制度の潮流をしっかりと抑えて、来るべき変革に備えましょう。

今回は、もうBig4から離れて一年経つぺこが日経の記事に噛み付きます。

目次:

  1. 電子確認状のプラットフォーム
  2. 監査法人の価値
  3. 会計システム自体がこのままなのか
  4. まとめ

1. 電子確認状のプラットフォーム

監査先企業の取引状況をオンラインで確認するシステムを共同開発(中略)

 現状、決算書を作成する際、企業間で発生する売掛金などの債権や買掛金などの債務の残高は、顧客である監査先企業の取引先に確認状を郵送するなどして確認している。膨大な量の確認作業は担当者の負担が大きい。新システムでは企業が金額をオンライン入力する方法を検討。監査する側、される側ともに決算に関わる負担を軽くする。(中略)

なるほど、電子確認状の話ですね。

確認状の電子化という論点は非常に現場でも議論になる部分です。
私が法人にいた頃は、監査チームの現場レベルで、金融機関に確認状と同時にエクセルでの保有銘柄の送付を協力依頼するくらいの感じだったものかと思います。

売掛金がたくさんの事業会社にまたがっている会社さんの場合も確認状を一通一通作るのがめんどいから電子的に確認するということですね。

現場の努力という枠組みを超えてプラットフォーム化するという取り組みですね。
やらないよりはやったほうがいいんじゃないですか。くらいの感覚です。

現状の作業効率の低さを考えれば、監査人と経理部はとても嬉しいですけど、経営者はどうですかね。って話と
現状の監査手法を所与として大規模システム投資やるって今のタイミングで良いんですか?って話が

2. 監査法人の価値

監査論で勉強した時は、監査人が大事にすべきは一にも二にも独立性ですよね。

実務上もここは変わりません。監査人がクライアントさんの言いなりになったり、いいなりになっているように見えることがあれば大問題です。

実務上クライアントさんがたくさんいるという部分です。

業界1位のA社を監査している監査法人に業界2位のB社が会計監査を依頼を検討しているとします。関係が良好な状況であれば、業界慣行もよく理解し、ノウハウを持った会計士が多数所属している監査法人に依頼することは非常に良いことでしょう。

特定の監査法人に業界のTOP企業が集中することのデメリットとして、
・今まではA社B社で決めていた業界慣行について、監査法人が口を挟むかもしれない
・M&Aアドバイザリーなどの非監査業務で、A社に情報が漏れていないか不安になる
とかなんとかあるんじゃないですか。

今のBig4体制であれば、そういった同業界の会社がそれなりに分散していて、第三者的な立場からオピニオンが欲しい時に相談できる先がギリギリある感じじゃないですか。
監査法人がクライアントさんに独立性の担保・守秘義務を負って関係を構築しているのはもちろんですが、取引がなくて守秘義務とか関係なしに情報が取得しようがない立場だから新規にお願いしたいことだってあるわけです。

Big4が情報連携して共通のプラットフォームで取引を確認するなんて話なんて言われちゃったら、もうどこに頼んでも一緒じゃん。情報って全てがつまびらかにされていれば良いって話じゃないですよね。と思いました。

これって監査法人の価値を毀損する取り組みじゃないですか。
(実態はこういう部分もしっかりケアして導入されるとは思うんですけどね)

3. 会計システム自体がこのままになるのか

現状の監査は今回フォーカスされた確認状を含め残高監査がメインの手続きです。
確認状によって、期末にこれだけ現金・金融資産ありましたってことを金融機関に確認したり、売掛金・買掛金これだけ残がありますって取引先と確認が可能です。
フローで細かいところがどうあれストックでかなりの金額的なボリュームの所在が確定してれば不正とかできないでしょって話です。

監査のロジックとして、フロー面やPL面を監査人が適正って心証を得るのは非常に難しいです。
一個一個の取引が本当にあったかどうか、監査人がどうやって証明すればいいんでしょう。
証憑とか契約書とか全部見ないとわかんないですけど、そんなこと物理的にできませんよね。
よってストックを固める確認状は現行の監査手続きの中でも最も強力な手続きです。

一方でブロックチェーン技術を用いて三式簿記(複式簿記+ブロックチェーンによる取引の証跡の保存)を前提とした会計システムが今後は生まれてくると思います。

ブロックチェーン技術の持つ取引の台帳記録と会計の親和性
スマートコントラクトとの連携による取引記録
取引記録の他者からの検証可能性の高さ

近未来の会計システムで取引のアサーションがブロックチェーン技術によって固められれば、BSはフローの結果に過ぎないということになり、監査の主戦場はフロー面になるかもしれません。

例えばドイツのデロイトさんが出してる記事

2018夏にリリースされるブロックチェーン会計システム PEACOUNT

なんだか海外では面白い動きが出始めているように思えます。

もちろん上場企業の経理のシステムが対応していくには相当なリソースが必要になりますし、技術的課題がきっと山積していると思います。すぐにはできないでしょう。
でも海外のデロイトさんは既に取り組みをしているのに日本のBig4はこういうのやんないで電子確認状!画期的!みたいな感じでいいんですか?私が知らないだけかもしれないですね

内部統制バブルを経験した監査法人が、次のバブルを経験するのはAIなんでしょうか?ブロックチェーンなんでしょうか?

4.まとめ 

なんだか風呂敷を広げに広げて畳めなかったエントリーになってしまいました。
まぁ元の日経の記事もふんわりしているので、仕方がないですね。

情報連携や共通のプラットフォームとかが行き着く先っていうのは、監査法人の金融庁化な気がしてしまいます。
もともと監査制度は公共性の高さや報酬の出どころ問題で公務員制度の中にあったほうがいいんじゃないかという議論があるような業界です。
そういう制度的な危うさを乗り越え、批判・指導しつつうまくクライアントとバランスをとってうまくやるのが会計士の職人的バリューなんじゃないのかと思っているんですけど、なんだか時代の潮流を見るとそういう感じではなさそうです。

ここ10年くらいの会計士のサラリーマン化を飛び越えて、今後10年で公務員化しないことを願っています。

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